C9ファンボの記録

C9ファンボ記録

LCSにて日曜日と月曜日に行なわれているC9の試合のreviewを書いています。

LCS Spring Sprit 2019 Cloud9 VS Team Solo Mid

Cloud9 VS Team Solo Mid

LCS第3週の1日目に行われた試合です。

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両チームのBAN/PICK

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TSMはNisqyの得意チャンピオンであるゾーイをターゲットバンします。

今回のPatchでは強力なチャンピオンが多いためドラフトではブルーサイドがコントロールしやすいです。実際最後のC9のバンでもアーゴットルシアンを開けるという状況になりました。アーゴットに対してはサイオンという選択肢もあるため、 序盤からプレッシャーをかけられるルシアンをバンするというのが一般的な手となる可能性が高いですが、C9はあえてアーゴットをバンしルシアンを開けました。これは相手にルシアンをわざととらせ、Sneakyの得意チャンピオンであるエズリアルをとりたかったというC9の意図です。

実際にその通りにピックが進み、C9は二つ目のピックにバックラインに飛び込めるカミールを選択します。

 TSMは2ndピックにサイオンリサンドラをピックします。サイオンをこの段階でピックした理由ですが、一応TOPとMIDのフレックスという形になっていますがおそらくTSMのTOPであるBBはメイジチャンピオンがあまり得意ではない可能性があります。これまでの4試合で使ったチャンピオンはアーゴットイレリアエイトロックスサイオンと、一度もメイジ系を使っていません。そういった事情を踏まえてのピックだと思います。

また、リサンドラは飛び込んでくるカミールに対してULTを使う、または自身に使うことで相手を分断することができます。それを考えてのピックです。

それに対してC9はラストピックにガリを選択します。対面がサイオンリサンドラであれば十分にレーン戦を行え、なおかつレベル6以降のカミールとの相性を考えたピックです。

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2ndバンフェイズでTSMはアリスターヨリックをバンします。カミール、ガリの時点で相手がバックラインを狙ってくる構成だとわかっているため、一緒に飛び込めるアリスターを警戒、ヨリックはソロキューでとても勝率が高く、タンクに対して強力なため、一つの選択となっています。

対するC9はルシアンと相性の良いスレッシュカミールに対して圧力をかけられ、カミールのULTに対してULTで拒否できるリーシンをバンします。

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 この段階で強力なサポート候補として真っ先に挙げられるのがラウムタムケンチです。C9がピックを先行しているため、ラウムをとりあげます。

それに対しTSMは相手の森にプレッシャーをかけることができるオラフをピックします。ラウムがとりあげられてしまったため、競技シーンによく出てくるサポートとしては、タムケンチです。シェンというチャンピオンもいますが、ルシアンをピックしている以上アグレッシブなピックをしたいため、候補から外れます。しかしタムケンチであれば、相手のカミールから守れるため、非常に相性も良く、また、C9側のドラフトの懸念点でした。

しかし、TSMはタムケンチではなく、ジリアンをピックします。これは非常に良いピックであり、TSM側の構成に対し大きな利点が二つあります。

一つ目はボムを使うことによってレーンを押し上げることが可能なことです。TSMはオラフをピックしているため、できれば全レーン押し上げることが理想です。タムケンチではなくジリアンをピックすることによって、タムケンチよりも簡単に押すことができ、移動速度増加スキルを使って補助することも容易になります。

二つ目はタムケンチが助けるより安定して味方を助けることができることです。タムケンチは自身の体を使って助けなければならないため、タムケンチへの対処法として、キャリーを狙うのではなく、タムケンチから倒すという方法があり、グローバルULTでどこでも関与できる利点があるものの、集団戦ではリスクが伴います。しかし、ジリアンであれば、倒されそうな味方にRボタンを押すだけで助けることができます。

ここで重要なのはよみがえる前に一定時間無敵になるという点です。C9の構成はカミール、ガリからみてわかるようにオールインが非常に強力になっています。つまり、一点集中のため、オールインした後の戦いが難しいという欠点があります。TSMはリサンドラをピックしているため、一度耐えきることができれば有利に戦えることができます。無敵時間をうまく使うことによってTSMは集団戦を有利に進めることができます。

C9はカミール、ガリを軸としているため、これがいなされた場合のプランが必要です。ここで出てきたのがサイラスというチャンピオンです。C9はオールインした後の集団戦の戦い方がカギになってきます。サイラスというチャンピオンは相手のULTをコピーすることができます。しかも今回相手にはリサンドラ、ジリアンという時間を伸ばすことが得意なチャンピオンがいます。これをコピーすることによってC9の弱点であるオールイン後の集団戦を補完することが可能になりました。

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構成としてはC9はガリオ、カミールを軸とした集団戦、キャッチが得意な構成です。また、時間さえ伸ばせればエズリアルがいるため、レイトゲームでも十分に勝てる構成となっています。

それに対してTSMはオラフをうまく使いながら、序盤から相手の森にプレッシャーをかけにいきたいです。また、集団戦では相手のオールインに対してリサンドラジリアンがうまく機能し、ルシアンがダメージを出すことが必要になってきます。唯一気を付けなければならないのはガリのULTによるCCによってジリアンが復活させた対象以外が復活している最中に倒されないことです。つまり、C9がリソースを使うタイミングで最小限の被害で抑えることが必要になってきます。そのためにはジリアンのULTで時間を稼ぐだけでなくその最中に相手にプレッシャーをかける必要があるため、リサンドラが離れているタイミングで仕掛けられてはいけません。

ここで重要になってくるのがサイラスのULTの使い方です。リサンドラないしジリアンのULTの使い方次第で勝敗が分かれる可能性が高いです。

試合展開

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ファーストブラッドは7分に起こります。C9は序盤ラウムの強さを生かし相手の赤バフを奪い3バフ管理を行います。そして再び赤バフが出現するタイミングで仕掛け、キルを獲得します。序盤C9のBOTレーンは不利にも関わらずBOTサイドでアクションを起こすことができ、最初の流れをつかむことができました。

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しかし、MIDではリサンドラが有利を築きガンクから1キル獲得。MIDの1stタワーをTSMが獲得します。

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24分にMID周辺でC9が構成の強みを生かして仕掛けます。これによりC9は2キルとMIDタワーを獲得します。

このシーンはC9がうまくサイドのレーンコントロールを行い仕掛けたシーンです。ドラフト段階で言った通り、ジリアンはオールイン構成においてカウンターとして成り立ちますが、味方が復活している最中に他が壊滅してしまっては意味がありません。そのため、リサンドラという時間が稼げるチャンピオンが必要になってくるのですが、C9がTOPのウェーブをコントロールしていたため、リサンドラが処理に向かわなくてはならず、そのタイミングで仕掛けたC9のマクロが上回ったシーンです。

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31分に集団戦が起こり、C9が4キルとバロンを獲得します。この集団戦はルシアンジリアンが離れていたところをC9が狙い、先にルシアンを倒して集団戦に勝ちます。TSMはダメージの大部分をルシアンが担っているため、ルシアンが真っ先に倒されると集団戦を勝つことが非常に難しいです。これはTSM側のミスです。

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このバロンを生かし、C9はBOTのインヒビターを獲得します。

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37分にC9は1-1交換を行い、39分にエルダードラゴンを獲得します。

エルダードラゴンが出現していたこともあり、TSMはBOTサイドによりますが、カミールがあえてTOPサイドの森に隠れており、そこからエンゲージを仕掛けます。カミールは倒されてしまいますが、同時に集団戦で強力なリサンドラも倒すことに成功しました。

その後C9はジャングルがいない中でエルダードラゴンに触ります。TSMはオラフが生きているため、当然止めにいきますが、TSMが近くにくるとターゲットをTSMに切り替えます。この時間になるとC9の方がダメージが出る構成であることと、TSMのCCの大部分をリサンドラが担っていることもあり、C9がダメージで圧倒的に上回ります。BOTにスーパーミニオンが流れていることもあり、TSMは諦めなければならず、C9が安全にエルダードラゴンを獲得しました。

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その後C9はエズリアルの後半の強さを生かして二回目のバロンを獲得し、インヒビターを二つ破壊、無事勝利します。

総評

今回TSMはC9のカミールガリに対してジリアンを当て、構成上はうまく機能するはずでした。しかし、リサンドラがいないタイミングを狙われたシーンとルシアンの立ち位置ミスからドラフト通りの試合展開を進めることができませんでした。構成上、レイトゲームに強いのはC9ですが、序盤強いのはTSMのため、TSMはドラフト通りの試合展開を進めることができれば十分に勝てる試合でした。

しかし、サイドレーンのコントロールをとって、相手を動かしたタイミングで仕掛けることができたC9がうまく構成の穴を付いたともいえます。NAはメジャーリージョンの中でもマクロが弱いとされていますが、C9はその中でも年々と良くなっています。その結果が毎年のWCSでNA last hopeと呼ばれることに繋がっていると思います。

今回はNisqyの目立ったコミュニケーションエラーもなく、きつい時間帯を耐えきり、うまく勝利することができたと言えるでしょう。

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余談ですが、この試合後のデバイスを片付けるシーンにてLicoriceのデバイスの片付けをしている人はC9のCEOのJack氏です。Licoriceはこの時インタビューを受けており、代わりに片付けています。C9のメンバーはJack氏の事をある記事で家族のように自分たちの事を気にかけてくれると話しており、この写真からもチームとオーナーの関係性の良さがうかがえます。