LCS Spring Sprit 2019 Cloud9 VS FlyQuest
Cloud9 VS FlyQuest
LCS第5週の1日目に行われた試合です。
両チームのBAN/PICK
この試合、C9は今まで相手にバンされていたゾーイ、エズリアルを自らバンしていきます。
相手がバンしてくれる可能性が高いにも関わらず自らバンを割くという選択の利点は、相手がOPチャンピオンをバンしなければならなくなるという点があります。C9はブルーサイドの1stピック権を持っているため、これにより、プレッシャーを与えることができます。
実際にFlyはアーゴットとルシアンをバンしており、効果が表れています。
1stピックにC9はカシオペアを選択します。カシオペアはナーフを受けたものの、フレックスが可能なのでいまだに強力チャンピオンをになっています。
それに対しFlyはアリスターとヤスオをピック。一応フレックスの可能性はありますが、セットでピックしていること、ブラインドでピックしていることからもBOTでの運用の可能性が高いです。
それに対し2ndピックにC9はガリオとサイラスを選択します。この段階ではどこのレーンに誰が行くのかまったくわからないため、非常にうまいドラフトになっています。
Flyはラストピックにセジュアニを選択します。これでFlyはヤスオを中心としたドラフトを組んでいることがわかります。
C9は2ndバンにリベンとジェイスをバン。V1perはファイターを得意としており、先日リベンで高パフォーマンスを出していたためTOP中心のバンとなっています。
Flyはセジュアニを見せているため、低レベルからプレッシャーをかけられるオラフ、そしてC9に強力なエンゲージ要素がないため、ザックをバンします。
2ndピックフェイズの最初のピックにFlyはイレリアを選択。このチャンピオンもまたフレックスです。
それに対しC9はキンドレットとエイトロックスを選択。セジュアニが見えているため、積極的に相手ジャングルに入る選択をします。また、この段階でも完全に決まっているロールはジャングルのみです。(サポートサイラスの可能性もあるため)
最後のピックにFlyはルブランを選択します。これはレーンでプレッシャーをかけることにより、C9の構成の狙いを阻害する役割を任されています。
構成はC9は完全な少数戦狙い、Flyはヤスオを中心とした集団戦、少数戦狙いです。
C9はエイトロックス、サイラス、キンドレットとTOPサイドに序盤から強いチャンピオンがいるのでそこから相手ジャングルに入りプレッシャーをかけてくのが狙いになってきます。しかし、C9は強力なエンゲージ要素を持っていないため、レーン戦後はうまくオブジェクトをエサにしながら集団戦を起こす、または相手に仕掛けさせる必要があります。Flyはオールイン構成のため、キンドレットのULTをうまく使い、相手にスキルを使わせることができれば、C9サイドに十分に勝ちがあります。
それに対しFlyはいかにヤスオを育てられるかになっています。イレリアというファイターもいますが、ドラフト順からも見てわかる通り、ヤスオは用意されたピックです。FlyはBOTを中心に試合を進めてくるでしょう。注意なのはC9はカシオペア、キンドレット、ガリオを使ったゾーンコントロールが可能なため、アリスター、ヤスオ、セジュアニでうまくCCチェインを決め、相手にスキルを使わせる前に倒すことが必要になってきます。
試合展開
4分にファーストブラッドが起こります。序盤にガリオが2vs2でフラッシュを落としたところを狙い、セジュアニがガンクを決めます。
FlyはBOT中心に動かすことが狙いになるため、まずはFlyが大きな有利を手にしました。
11分にドラゴン前で集団戦が起こります。アリスターのノックアップが決まり、そこからヤスオのULTを決められてしまい、1-3の交換になります。
C9は序盤から有利を築きたかったのですが11分段階のこの集団戦で負けてしまいます。
逆にFlyは序盤から有利を広げることができ順調に試合を進めることができています。
13分にC9が2キルとヘラルドを獲得します。
C9はエンゲージ要素がないためオブジェクトを利用することが必要だと言いましたが、C9はヘラルドに対しプレッシャーをかけ続け、相手がしびれを切らし飛び込んできたところをかわしキルを獲得します。
21分にC9はバロンをエサに集団戦を起こし、4-3のキル交換とバロンを獲得します。
ここでもバロンというオブジェクトを利用し集団戦を起こします。しかし、この時間帯のバロンは弱いため、タワーを2本とるまでに限ります。
30分にまたしてもバロン前で集団戦が起こります。
これもバロンをエサにして起こりました。バロンはとられてしまうものの、C9は4キルを獲得します。
バロンバフは得られなかったものの、このキルによりC9は2インヒビターを獲得します。
そのまま2インヒビターをとった有利を生かし、C9が勝利します。
序盤集団戦に負けてしまったこともあり苦しい展開になるかなと思われましたが、うまくオブジェクトを利用し勝ち切ることに成功しました。
これでC9通算7勝2敗です。
総評
この試合C9は新たな戦術を見せました。一つ目はエンゲージ要素がないチームの戦い方。二つ目はBOTカシオペアです。
一つ目のエンゲージ要素がない構成での戦い方は非常に難しいです。最も大きな理由は先手を取り続けないと何もできないからです。しかし、先手を取るために必要なエンゲージ要素がないため、この先手をとるという行為がオブジェクトに限定されてしまいます。オブジェクトをエサにするというやり方は非常にリスクが高く、高度なコミュニケーションが要求されます。しかし、今回のC9は序盤負けてしまったにも関わらず、アグレッシブにリスクをかけてオブジェクトに先にアプローチし続けました。この行為がどれだけ難しいことなのか競技シーンを見ている人ならばわかると思います。それでもC9はチャレンジし続け不利を有利に変えることができました。このプレイスタイルこそがC9の強さであり現状2位につけている理由です。
二つ目はBOTカシオペアという新たなピックです。今回、C9は1stピックに選択したことからも明らかにこれをやりたがりました。つまりC9はBOTでもメイジが使えるんだというところを見せたがっていたということです。C9は他のチームに比べ圧倒的にフレックスチャンピオンを好むという傾向があります。今回この中にカシオペアが追加されたことによって次回以降さらにドラフトの組み合わせが広がり、また、ドラフト上で有利をつけやすくなります。BO1でのドラフトの有利はとても大きなものなので今回のカシオペアは非常に意義があったピックでした。
今回の試合、一見するとNAみたいな試合だという感想を持つ人もいるかもしれませんが、試合内容をよく見てみるとC9のマクロの高さが光った試合でした。あの構成で勝つにはこの戦い方が最適解だったといえるでしょう。重要なのはC9の選手がこの構成の強み、弱みを把握していたことです。この試合の集団戦はすべてオブジェクト前で起こりました。これは明らかに狙っていたということです。今までの試合のreviewでも書きましたが、C9はこの構成では何をすべきなのかということを完全に理解している印象を受けます。最初の方こそコミュニケーションエラーがありましたが、今のC9は去年のC9を超えているといってもいいと思います。それくらい強いです。